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長年、地主さんから借りてきた底地の買い方～ひとつの土地の上に２軒の家がある借地編～
2020-03-22
三浦市の某所、コンサルタント業務のお話。
相続手続きがやっと落ち着いた地主Ｉさん。
Ｉさんの依頼で、借地権の更新や土地の管理を行うことになりました。
相続したばかりなので、法律関係は私に一任との話です。
今後、測量士や弁護士の先生方にお願いすることが多くなるかもしれません。
今回の土地は、といえば・・・
場所が大変良いです・・・バス停１分の整形地。
もともと、「土地区画整理事業」で整備された住宅地です。
きれいにな区画になって、道路は整備され、価値は高い。
土地のうえには、建物を所有するＳ様とＭ様が住んでいます。
Ｉさんとは先々代から、なが～いお付き合いなのです。
数十年後の相続対策として、専門の土地家屋調査士に「確定測量」を依頼しました。
この測量を行えば、将来の相続税の代わりに土地を国に物納したり、あるいは、第三者へも簡単に売却したりできます。
隣接地権者の筆界確認（境界の立会のようなもの）を行なった確定測量なので、いま一つになっている大きい土地を、細かく分割・・「分筆（ぶんぴつ）」もできます。
今回の場所には２軒の家がありますので、当然、昔から土地の賃貸借契約関係でありす。
借地面積もざっくりと各３０坪ずつとして決められてました。
全体で６０坪一段の土地を地主さんが所有して貸してきたのですね。
ＳさんもＭさんも、その対価として、３０坪の地代をそれぞれ支払ってきました。
そして、近代的な技術で確定測量をした結果は・・・
６７坪！
所謂、縄伸びです。
地主さん曰く、「土地が増えたのだから、さかのぼって差額の地代を請求したい・・・。」
しかし、これはできません。遡及しないのです。
みんな、今までわからなかったこと。
今回の測量で初めて分かったことだからしょうがない。
その後、Ｍさんは、「できれば土地を譲ってほしいと」・・と、Ｉ様に申し出。
さっそく、適正な金額をはじきだしたのですが・・・。
Ｍさんは納得いかず、その後、何回も指値交渉をしてきます・・・。
底地ということもあり、路線価での割合で４０％の割合の価格を主張してます。
また、事例も近隣で安い金額を比較してきている。
買う方は安いことに越したことはないでしょうが、相手方の地主さんは首をかしげますよね。
今まで素晴らしい関係だったのに…、お金のことになると。。。
何回かの話し合いは行った末、残念ながら今回は売却しないで土地の更新契約を２０年で行うことになりました。
一つの場所に、地主と借地権者の権利が存在する不動産は、どうなのでしょう。
昨今の景気であれば、どちらかの権利を先行して第三者へ売却しようとしても、そう簡単には売れません。
東京であれば即うれるのですが、三浦市では難しいでしょう。
チャンスだったのに・・・、と思いました。
今後のポイントは・・・、
長年使用してきたＳさんとＭさんの境界線をきめて、土地を分筆します。
相続を受けた地主Ｉさんにはこの借地権者の双方の境界線は到底知りえないこと。
ＳさんとＭさんに、どこまで互いに使ってきたかをお任せすることに。
まずは、Ｍさんの意見を聞いて、境界線を決めました。
現況も理にかなっていましたので、プレートを設置し、分筆予定の測量図の作成をしました。
ここで問題なのは、意見を出していないＳさん。
借地権者同士で境界線を決めていただかないといけませんので・・・。
境界線を主張したＭさんは、本当にＳさんのことを考えて境界線を土地家屋調査士に明示したのでしょうか。
そこがポイント。
双方もめないようにしてください。
本日、分筆図面をＳ様、Ｍ様にお届けしました。
借地権者同士の境界線で紛争が起これば、一つの土地を二区画に分筆する必要性はありません。
正確にいえば、分筆登記はできますが、利用している現況と相違する土地の筆が新たにできてしまうので、意味がない。
その場合、地主Ｉさんはそのまま一つの土地として所有します。
地主さんとしては、測量で広くなった地積分の地代をいただければそれでいいのです。
Ｓさん、Ｍさんの仲裁には入れません。
あとは、流れに従って見守るだけですね。
今日は、地主さんのご自宅にうかがい、先代の方のお仏壇に挨拶してまいりました！
お彼岸でもあります。
これからもしっかりとコンサルしてまいります。
