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私道の幅員・・・完了検査未了の建築確認書の信憑性~横須賀市追浜本町調査編~
2020-06-30
追浜本町の一戸建てを所有しているS様からの依頼のはなし。
概ね調査もおわりました。
室内も空いた状態になり、敷地の境界標の確認。
境界標がなさそうな個所もあったので、土地家屋調査士に依頼し、復元する必要があります。
ようやく、売買へむかう第一歩の査定と調査にはいった。
よくいわれる、「確認済証」という書類がある。
いわゆる、建築確認通知書のこと。
設計図を予め、お役所に確認してもらう作業。
建築物を建てる前には、設計図を行政に提出する義務があります。
その後、確認済証が交付されしだい、実際に工事に入ることができます。
今回の建物は大手のMホームさんで平成13年に建築されました。。
しかし、行政に確認にいきましたが・・・えっ!完了検査を受けていない・・・・。
なぜ、どうして・・・。
大手ハウスメーカーでそういうことがあるのでしょうか?
じつは、あるんです。
平成13年頃の法律は、完了検査申請は任意だったのです。
完了検査がない場合は、建てる前の確認済証の図面と、完成した後の現場が一致しているかどうかが不明なのです。
昨今、品確法、新築10年保証義務化の世の中です。
図面をつくって図面通りに建てることが義務化されたこの時代。
完了検査を取得していない図面は、「ただの図面」なのです。
重要事項説明書を作成するにあたり、道路の調査は「肝」になります。
しかも、「私道」。
私道については、民間所有なので、行政にはその幅員が分かる資料はありません。
私道所有者から聴取したり、現況の幅員を調べる必要があります。
今回の確認済証に記載している私道幅員と、それに伴う中心線から2mさがる道路後退の距離・・・。
図面と合っているのでしょうか・・・。
もし、完了検査を受けていない現場の図面を信じ、その寸法のまま、重要事項説明書の私道負担やセットバック欄に記載してしまった場合で、場合によっては現況が図面と違うことも想定されます。
これは大ごとなのです。
こういう時のための調査方法とは・・・。
まずは、確認済証の図面を建築指導課に持っていきます。
その周辺の建築計画図面を役所内で調査してもらいます。
そして、そのデーターから割り出された私道幅員を教えてもらいます。
そして、今回の完了検査を受けていない図面に記載している現況私道の幅員やセットバック距離と行政のデーターと合っているかを確認します。
そして、その整合性が確認できたら、初めて需要事項説明書に記載することができます。しかし、あくまでも、「約」の表示をつけないといけません。概算なのです。
尚、行政になんのデーターもない場合、現況から割り出したり、周辺の境界線の相違でセットバックの面積等も変更が生じる旨の説明書きをする必要があります。
今回は、既に建築確認書(確認済証)の設計図書が存在していたことで、現場との整合性を確認できたのです。
くれぐれも、完了検査が取得されていない「確認済証」を信じてはいけませんね。
十数年前の設計図書、いわゆる建築確認図面に対して、完了検査を受けていない場合は、しっかりとその理由と調査を致しましょう。